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ハムレット、夏目漱石、オフェーリア

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その絵を地下鉄の駅の広告で見かけたときに、思わず立ち止まってしまいました。
そして、見に行かなきゃ。と思ったのです。

中学生くらいの夏休み。たぶん水戸の祖父母の家でハムレットを読んだことはあったはずなのですが、その時は全く面白さもわからず、生きるべきか死ぬべきか、という有名な箇所だけが頭の片隅に残り、オフェーリアのことは、私の記憶に全く残りませんでした。

絵のことを知ったのは、夏目漱石の「草枕」

ちにはたらけばかどがたつ、じょうにさおさればながされる、いじをとおせばきゅうくつだ。
とかくにひとのよはすみにくい。
という出だしの文が好きで(私は夏目漱石が好きで、娘の名前も漱石の「すみれほど 小さき人に 生まれたし」という一句に由来していたりします)…何度か読むうちに、その中に出てくる絵ってどんなのだろうと想像していたのでした。
それが、オフェーリア。水の中で草花に囲まれて、美しく哀れに死んでゆくひと。

地下鉄の駅で、その絵をみかけたときは、オフェーリアの名前が思い出せなくて、草枕だ!と思いました。

実際に絵の前に立った時には、とても不思議な感じがしました。
写実的なのに現実味のない絵の構図と女性の表情、水に浮かぶ花々の色づかいの美しさと謎めいた妖しさにも心奪われましたが、夏目漱石もかつて、この絵を私と同じように立って目の前に見たのだろうな。とも考えたのです。
時代を越えて、他人どうしが同じものを眺めることができるというのは絵画や彫刻の特権です。
今の時代、印刷物やネットの画像として共有することもできますが、油絵の持つ息づかいをそのまま再現することはできません。
実際に絵の前に立って感じられる迫力?というのでしょうか、スゴイ!って感覚を時代を超えて共有できるから、私は油絵が好きなのかもしれません。

絵の横に書いてあった解説で、オフェーリアがシェイクスピアのハムレットの登場人物だということを知りました。
そして、すぐ書店に立寄りハムレットの文庫本を買って読み始めることに。

読み終わって、訳者あとがきまで読み進んだところに「日本語では、オリジナルの10%の良さしかわからない」というようなことが書いてありました。

そうだった、今のわたしなら原書がよめる!(はず、笑)
早速Amazonで注文。手元に届くのを楽しみにしているところです。

そして、いつになるかわからないけれど、次に再びどこかでオフェリアの絵の前に立つ時、きっと今回とは違った視点で鑑賞することになるのではないかな、と思っています。

ラファエル前派展 4月6日まで

イチゴ泥棒などの柄でおなじみの?ウィリアムモリスの油絵も展示されていますよ。











by sayaka_ozawa | 2014-02-20 11:07 | 覚え書き


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