シンタロウさんと出会ったのはカリフォルニア州立大学の、中庭のような場所に生える大きな木が窓からみえる教室でした。
モデルさんを使った人物彫刻のクラスです。
上級生(=シンタロウさん)と下級生(=私)が混じって週に1日4〜5時間使って製作する、うちの学校ではちょっと珍しいスタイルのクラスでした。
日本人と一緒のクラスになることは珍しかったこともあって、シンタロウさんとはすぐに友達になったのです。
教授は、穏やかなおじいちゃん先生。
授業もアットホームでのんびりした雰囲気。長丁場のモデルさんを休ませる意味合いもあり休憩時間が長いのも、おじいちゃん先生クラスの特徴。
大きな木の下にはベンチがあって、長い休憩時間には、そこでシンタロウさんと一緒に自動販売機で買ったコーヒーを飲みながら話をしたり、煙草を吸ったり。(その頃はふたりとも喫煙者だったのでした)
その大きな木がアボカドだと教えてくれたのは、おじいちゃん先生。
おじいちゃん先生が若かりし頃、結婚の記念に植えたアボカドなのだとか。
私たちと同じく、その教室で出会ったという年下の奥様とのなれそめを、バターミルクを飲みながら、それはそれは嬉しそうに幸せそうに話してくれたのでした。
なんとも愛おしくアボカドの木を眺めていた優しいおじいちゃん先生のことを、10年以上たった今もアボカドを食べるたびに思い出します。
アボカドを食べたあと、水につけておいたら芽がでてきました。
信州では冬越しが難しいのだけれど、土に植え替えて大事に育ててみようと思います。